「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えている

2010年代中頃から、テレビでは「日本すごい」と持ち上げる番組が増えてきています。

「日本すごい」と持ち上げる番組とは、日本の伝統や文化、さらには日本人の国民性や日本製品が、海外でどのように(特に好意的に)評価されているのかを紹介した番組のことです。

ここでは、テレビで「日本すごい」と持ち上げる番組が増えた背景にはどのような理由があるのか、少し考えてみたいと思います。

【なぜ?】「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えた理由とは?
すごいよ!ニッポン!

従来、新聞・テレビでは「自虐史観」が優勢だった

「日本すごい」と持ち上げる番組が増えたことについて語る前に、まず先に、それまでマスメディアで優勢であった「自虐史観」について語る必要があります。

従来、日本の新聞・テレビといったマスメディアでは、日本という国(あるいは日本人)自身に対する評価は、この「自虐史観」に基づくものでした。

「自虐史観」とは、簡単に言えば、”日本は第二次世界大戦でよくないことをしてきた”、”アジア諸国に迷惑をかけてきたので日本は反省しなければならない”、”現在の日本は経済成長を果たしたが、それだけでいいのか”などといった考え方に基づいて、常に日本という国(場合によっては日本人)をネガティブに捉える歴史観のことです。

【「自虐史観」とは?】

・常に日本という国(場合によっては日本人)をネガティブに捉える歴史観

(特にリベラル系の)新聞での日本に関する特集や論調、あるいはテレビで日本を題材としたドキュメンタリーなどでは、伝統的に、このような「自虐史観」に基づき、日本という国や日本人を後ろ向きに考える傾向がとても強かったのです。

日本の新聞・テレビ業界はリベラル的な思想を持つ人が多い業界

ちなみに、日本の新聞・テレビ業界はリベラル的な思想を持つ人が多い業界だとされています。

リベラル的な思想とは、忌憚なく言えば左翼的思想のこと。左翼的思想は「反権力」を標榜し、「自由」と「平等」という言葉を好み、「国家制度の解体」や「家族制度の枠組みの解体」を志向します。

近年盛んな「男女平等」「LGBT」などといった、国家や家族といった枠組みよりも「個人」を尊重する考え方も、左翼的思想に分類されると考えられています。

このようなリベラル的な思想(左翼的思想)の延長線上に、「自虐史観」が存在しているわけです。さらに言えば、「自虐史観」に基づいて、日本(あるいは日本人)に対して批判的であればあるほど、彼らにとっては”カッコいい”ことになるのです。

【リベラル的な思想とは?】

・左翼的思想 = 「反権力」を標榜し、「自由」と「平等」という言葉を好み、「国家制度の解体」や「家族制度の枠組みの解体」を志向

・「男女平等」「LGBT」などといった、国家や家族といった枠組みよりも「個人」を尊重する考え方

ですから、新聞やテレビに登場する、リベラル的な思想を持つ文化人やコメンテーター、あるいはキャスターなどは、日本(あるいは日本人)に対して批判的な立場をとったり辛辣な意見を述べる人が多いのです。

繰り返しますが、それが彼らにとっては”カッコいい”ことなのです。

【なぜ日本・日本人に対して批判的な立場をとるのか?】

・リベラル的な思想(左翼的思想) ⇒ 「国家制度の解体」を志向 ⇒ 「自虐史観」 ⇒ 日本(あるいは日本人)に対して批判的 ⇒ なんか”カッコいい”

と、長くなりましたが、ここまでで従来の新聞やテレビでは、日本や日本人を後ろ向きに考える傾向がとても強いということがおわかりいただけたでしょうか。



インターネットの一コンテンツとして登場した「日本すごい」

このような前提を踏まえて、ようやく本題に入ることができます。

一方、2000年代以降のインターネットの発達とともに、インターネット上では、とあるコンテンツが人気を博します。

それは、「海外の反応」というジャンルのコンテンツです。

文字通り、海外のサイト(2ch のような掲示板)での日本に対する反応を翻訳したもので、海外において日本の伝統や文化、さらに日本に関する様々な姿(日本人の国民性や自動車をはじめとする日本製品)が、好意的に捉えられていることを紹介したものです。

この「海外の反応」というジャンルのコンテンツが、インターネット上で支持され、多くの人気(PV数)を獲得するようになっていくのです。

閉塞感の漂う時代に登場した「日本すごい」

1990年代の「失われた10年」を経験した後に迎えた2000年代というのは、日本にとって、とても閉塞感の漂う時代でした(ちなみに2000年代末期には「民主党政権」も成立します)。

さらに追い打ちをかけたのが、「自虐史観」に基づき、日本や日本人を後ろ向きに考え、不安を植え付けようとする新聞やテレビの存在。特に2000年代のマスメディアでは、そのようなネガティブな論調が多かったのではないでしょうか。しかし、そんな中、「日本や日本人を貶めようとする一部の新聞やテレビはおかしい」と漠然と感じる人たちも少しずつ増えていきました。

以上のような状況の中でインターネット上に登場し人気を博したのが、日本に対してポジティブな意見を紹介した「海外の反応」だったのです。

これらのコンテンツが2010年以降、スマートフォンの登場によりSNS上で拡散するにつれ、多くの日本人たちは「日本は自分たちが思っているよりも意外とイケてる」んじゃないかと気づきはじめます。

「日本すごい」コンテンツにテレビ業界が食いつく

もう、おわかりかと思いますが、このインターネット上の大きな流れにテレビ業界が食いついたのが、「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えた理由です。

インターネット黎明期(1990年代後半から2000年代にかけて)には、インターネットを目の敵(かたき)にしてきたテレビ業界ですが、スマートフォンの隆盛とともに、インターネット上の人気コンテンツを無視できない、もっと言うとインターネットの人気コンテンツを”模倣”する動きが出てきたのです(企画力がないテレビ業界が安易にインターネットの人気コンテンツを真似するようになったとも言えます)。

余談ですが、2010年代以降に入ると、テレビ業界がインターネットの人気コンテンツを”模倣”しようとする動きは、ひじょうに顕著になっていきます。

さらに、2016年・2017年あたりからは、それまでインターネットとは頑なに一線を引いていた新聞業界が、インターネットの人気コンテンツを”模倣”する動きが出はじめている点にも注目したいところです。

新聞・テレビがインターネットを後追いする

それまでインターネットを目の敵(かたき)にし、頑なに一線を引いて「自虐史観」を貫いていた新聞業界・テレビ業界が、主義思想を捨ててまでインターネット上の「海外の反応」(=「日本すごい」)を後追いするようになった……。これは実に皮肉なことです。

「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えたこと、新聞業界・テレビ業界がインターネット上の人気コンテンツを後追いするようになったことは、メディアの主力がテレビ(あるいは新聞)からインターネットへと完全に移行したことの証左だとも言えます。

つまり、2010年代中盤以降、インターネットが主力メディアとなり、新聞・テレビが旧メディアとなり完全に逆転したとも言えるのです。今後、新聞業界・テレビ業界が、主義思想を捨ててまでインターネット上の人気コンテンツを後追いする動きは続いていくと予想されています。

日本や日本人を批判するだけの時代は終わった

リベラル的な思想(左翼的思想)を持つ人が好む言葉に、「多様性」や「共生」というものがあります。これは、”各々の違いや個性を認め、共に生きていこうという”考え方です。もちろん、それはそれで素晴らしい考え方です。

しかし、実は、彼らが声高に叫ぶ「多様性」や「共生」は、実は、日本や日本人に対して批判的、すなわちネガティブな立場であることが前提となっています。

つまり、「多様性」や「共生」をしていかなければならないけど、日本や日本人の個性は基本的に認めないよ、というものです。

果たして、それは本当の意味での「多様性」や「共生」なのでしょうか。

「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えた理由は、上でも説明した通り、単にテレビ業界がインターネット上の人気コンテンツである「海外の反応」(=「日本すごい」)を後追いするようになったことがきっかけです。

しかし、「日本すごい」の番組がここまで支持され人気となったのは、それまで新聞業界・テレビ業界が主張してきた「自虐史観」により、自分たちの個性が認められなかった日本人が、「多様性」や「共生」の大切さに気付いた際に、「あれ、でも日本や日本人の個性は認められていないんだけど」と気づき、「日本や日本人の個性とは何かを渇望した」結果でもあるのかもしれません。

「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えたことに関しては様々な意見があります。ただ、もはや「自虐史観」に基づいて、日本や日本人を批判する、ネガティブな意見を持つだけの時代は終わったとも言えるのではないでしょうか。


いずれにせよ、インターネットの発達やスマートフォンの普及、ならびにインターネットやテレビ番組での「日本すごい」コンテンツの人気は、「日本人自身が世界の中の日本や日本人を捉え直す、よい転換点となった」ことに間違いないでしょう。


以上、「日本すごい」と持ち上げるテレビ番組が増えた理由についてでした。ビジネスパーソンのみなさんの参考になれば幸いです。

<文責/R>

※本記事は2017年9月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。


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