都内で働く個人タクシーの運転手さんに話を聞いてきた

法人タクシーの運転手さんと話をする中(最後のリンク参照)で、よく出てきた話題が「タクシー業界のよいところは、将来的に個人タクシーを目指せる」という話。

「じゃぁ、実際に個人タクシーの運転手さんの年収とか働き方ってどうなのよ」ということで、都内で働く個人タクシーの運転手さんにちょっとしたインタビューをしてきました。

【年収】東京都内で働く個人タクシーの運転手さんに独立起業のメリットやデメリット・働き方を聞いてきた
ぶっちゃけ個人タクシーの運転手さんは儲かりますよね?

都内で働く個人タクシーの運転手さんへの質問

今回お話を伺ったのは、知人がよく通う地元飲食店の常連仲間である個人タクシーの運転手さん。ちなみにお歳は「還暦は越えている」とのこと。都内で個人タクシーの運転手さんをしています。本人の了承を得て書いているので、ややぼかして書いている部分があることをご了承ください。

Q.まず、どのようなキャリアで現在に至ったかを教えてください

A.学校を出た後に新卒で中小企業の営業職として10年ぐらい働きました。前にいた会社は今でいうところのブラックとまではいかないけれど、ちょっと待遇がよくなくて将来どうなるのかなとは思いましたね。そんな時に資格(二種免許)も取れるし、頑張れば独立開業も目指せるってことで、法人タクシーに転職しました。それが30代中頃ですね。

今は知らないけど、私が法人タクシーに入社した頃(バブル経済末期頃)はそこそこ待遇がよかったですよ。居心地もよかった。そこで10年間勤めあげて独立しました。えぇ、無事故無違反でした。時期的に開業を後回しにしようかとも思いましたが、最初から独立開業が目標でしたからね。えいやっと。予定通りです(笑)。

私が勤めていた法人タクシーは大手で厳しかったけど、それがよかったですね。ものすごく勉強になった。友達もたくさんできたし、楽しかったですよ。

Q.個人タクシーで独立起業することのメリットやデメリットを教えてください

A.メリットはたくさんありますね。まず収入。働いた分が収入になる。それから自分で自由に使える時間が多くできる、自分で決めることができるのは大きいですね。収入を優先させるか自分の時間を優先させるかは人それぞれでしょう。

デメリットはありませんね(笑)。デメリットはないんだけど、他の個人事業主の皆さんと同じじゃないですか?働けば働いた分収入にはなるけど、働かなければ収入にはならないわけだから、その辺のコントロールというか自己管理がどうしても必要になってくる。事務作業も増えるけど、これもどうってことはない。

それから体調管理に意識を使うようにはなるかな。もちろん法人タクシー時代も気をつけていたけど、それ以上に意識するようになりました。自分の体一つで家族を養うわけだから病気は出来ません。それぐらいかな。これもデメリットじゃないですね(笑)。

Q.ぶっちゃけ個人タクシーの運転手さんは儲かりますよね?

A.どの職業でも「いやー儲かってしょうがないよ」なんて言う人はいませんよ(笑)。「十分に暮らせます」ぐらいでしょうね(笑)。

目安を言っておくと、例えば1日8~10時間程度、夜間に稼働して週5日勤務だとする。週5日で年間50数週だと年間250日勤務ぐらいか。で、1日の売上を少なく見積もって2万円~5万円、これをかければだいたいの年商は想像できますよね(約500万円~1250万円)。そこに強弱がつきます。えぇ、1日の売上はもう少し多いですね(笑)。

ただ、これはあくまで年商ですよ。ここにガソリン代、車両維持費、各種保険、税金など諸費用がかかってくる。他の業界に比べたら利益率は高いですけどね、この諸費用は結構大きい。ですから売上の60%~70%程度が手取りだと考えてもらってもいいですかね。そうすると働かなければ年収300万円以下になることもあるし、休みをあまりとらず頑張れば年収1000万円以上も目指せます。年収1500万円、年収2000万円というのは難しいですけど。

最近、燃費のよい車種も増えていますからね。トヨタのカムリが好きなんですよね(※私はトヨタのカムリの個人タクシーがお気に入り)?あれは燃費がいいみたいですね。月に数万円単位でガソリン代が安くなったなんて話も聞きますよ。初期費用が多少高くついても燃費のよい車、壊れにくい車に乗った方がいいですね。

私の場合は、月の売上ベースで目標を立てています。月の売上目標の具体的な数字(笑)?70万円以上ですね。あくまで売上目標(笑)。ここから諸費用が出ていきますからね。

Q.普段の働き方はどのような感じですか?

A.私の場合は月金の週5日勤務が基本。普段は夜暗くなるあたりから勤務開始で、3時・4時ぐらいには引き上げる感じですかね。土曜日曜はお休みだから、彼(共通の知人)もよく行くお店に食事に行ったり。法人タクシー時代に比べるとかなり楽ですよ。

もちろん時期によって繁忙期や閑散期があるし、天候や給料日前、給料日後の影響もあります。連休なんかも影響してくる。ですから、月金の週5日、10時間から12時間の勤務をベースにして、メリハリをつけていくわけですね。休むときは休む、働くときは働く。もちろん、お正月やお盆はきっちりと休みますよ。

人によって労働日数や労働時間は違います。自由度はかなり高いですよね。作ろうと思えば1週間休みを作れるし、海外旅行に行く人もいますよ。

働く場所は、自分の得意なというか相性のいい、好きな場所を中心にやります。都心の赤坂とかが得意な人もいれば、サラリーマンの多い品川周辺が好きな人もいる。渋谷がいいって人もいる。新宿が苦手だから近づかないっていう人もいますよ(笑)。

Q.個人タクシーで独立起業を目指す人にアドバイスを

A.アドバイスなんてありませんよ(笑)。法人タクシーで地道に頑張ればいいんですから(笑)。

個人タクシーは、頑張れば頑張った分だけ収入になると言われていますが、これは全くもってその通りです。法人タクシー時代よりも確実に収入は上がります。ただ会社から自由になる代償として、自己管理能力が求められてきますね。全てが自己責任になるわけです。

タクシー業界もいろいろあるし、「景気が悪い、景気が悪い」なんて言いつつも、みんな乗り越えてきたわけだから。東日本大震災の後も「どうなっちゃうんだろう?」と思ったけど回復したわけです。法人も個人も地道に頑張ればいいんじゃないでしょうか。

と、このような感じで様々なことを教えていただきました。個人的に一番印象的だったのは「自己管理能力が求められる」という点。これは個人事業主に共通して求められる能力ですね。




以上、東京都内で働く個人タクシーの運転手さんに話を聞いてきた内容でした。個人タクシーの運転手を目指すみなさんの参考になれば幸いです。

《「タクシー業界」について深く知る参考リンク》

個人タクシー
(Wikipedia)

【異業種転職】タクシー運転手に転職した元塾講師さんに話を聞いてきた

【異業種転職】タクシー運転手に転職した元スーパーのアルバイト店員さんに話を聞いてきた

【異業種転職】タクシー運転手に転職した元美容師さんに話を聞いてきた

<文責/M>

※本記事は2017年8月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。


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