最近、各方面で「トレタ(の機能だとかビジネスモデルだとかが)すげーよ」という話を聞くので、あらためてトレタ社の歴史をおさらい。

スタートアップベンチャーの参考になるかも?

【グルメサイト戦国時代】圧倒的な勢いで導入店舗数を増やすトレタの歴史を振り返る

■ 導入店舗数の数字の推移に注目してね!

トレタが注目されている理由は別の記事(→「中村仁氏率いるトレタがグルメ関連媒体と提携したポイントを考える」)でも書いているので、そちらを参考に。

とりあえず、本記事ではトレタ社関連のニュース記事を時系列にざっとまとめ。抜けがあるかもしれないので、その辺りは各自調べてください(適当)。

ここで注目してほしいのは『トレタ』の導入店舗数の推移。圧倒的すぎます。


■ 2013年の動向

『トレタ』がローンチしたのは2013年年末。ここから『トレタ』は怒涛の快進撃を続けるわけです。

12月
飲食店向け予約台帳アプリ『トレタ』を公開。


■ 2014年の動向

で、わずか9か月弱で導入店舗数が1100店舗などと、とんでもない数字を出してくると。

8月25日
『トレタ』アップデート。24時間365日対応のウェブ予約機能を実装。予約客がPCやスマートフォンから直接予約できるように。

9月
本社を恵比寿に移転。導入店舗数は1100店舗、予約入力件数が30万件、登録人数200万人を突破。従業員は3名から20名に。

10月1日
『トレタ』がグッドデザイン賞を受賞。

トレタ社のホームページで社員紹介をしているのですが、率直な印象としては、技術陣を少数精鋭で固める一方で、営業体制に係る人員を多くとっている点がすげーと。

類似のビジネスモデル(店舗への直販によるストック収益)を持つIT関連のスタートアップベンチャーでは、技術陣の人員を多くとる一方、「営業の人員が明らかに少ないだろ!」というところもあるのです。


■ 2015年の動向

一気呵成に攻めに入る2015年のトレタ社。飲食領域の各社との連携を進めていきます。

2月3日
アイリッジが手掛けるスマートフォン向け決済サービス『シーレス(C-less)』と連携。

4月15日
『Yahoo!予約 飲食店』と連携。

4月22日
導入店舗数が2600店舗超。

7月24日
株式会社USENが運営するインターネットグルメサイト『ヒトサラ』と連携。

7月27日
日本政策金融公庫、アイスタイルキャピタル、WiL、フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合から総額3億2000万円の資金調達を実施。第三者割当増資に加えて、新株予約権付き融資や資本性ローン等を組み合わせての資金調達。 導入店舗数は3200店舗

8月6日
かっこ株式会社と飲食店予約のビッグデータ分析で業務提携。飲食業界に向けたデータ分析サービスを開発すると発表。

8月7日
豊洲PITで行なわれた“RISING EXPO 2015”で『トレタ』がグランプリ受賞。

9月8日
『NAVITIME』にて飲食店予約連携の取り組みを開始。

10月7日
スターツ出版と業務提携。同社の提供する女性向けサイト『OZmall』の飲食店予約サービスと『トレタ』の機能を連携。

11月
『トレタ』導入店舗数4000店舗

12月
米国セールスフォース・ドットコムから資金調達。営業体制や開発力の強化を図る。セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドCRMサービス『Salesforce Sales Cloud』とトレタの連携を進めて行くという。

フェムトグロースキャピタルはわれらが磯崎哲也氏がゼネラルパートナーを務める投資事業組合。ちなみに磯崎氏はトレタ社の創業期から関わってるのだとか。そりゃ無双だわと妙に納得。


VCから10億以上集めても何に使ってるのだかよくわからず、収益もろくにあげられない(架空のですよ架空の)スタートアップベンチャーがあるかもしれない一方で、わずか2年で『トレタ』の導入店舗数が4000店舗というのは素直に驚嘆すべき事柄。


■ 2016年の動向

創業からわずか2年で海外進出(シンガポール)。さらには発表と同時に100店舗と契約済みという男前なプレスリリースを発表。

毎年毎年「海外進出」を謳ってニュースになるものの実現せず、しまいにはもしかして「VCから金を集めるための口実じゃねーの?」と揶揄されるかもしれない(架空のですよ架空の)スタートアップベンチャーとは大違いです。

2月29日
アイスタイル、伊藤忠商事電通デジタル・ホールディングス(電通デジタル投資事業有限責任組合)の3社を引受先とした総額第三者割当増資を実施。キャンバス取締役の加登住眞氏が非常勤監査役として同社に参画。2016年2月現在の導入店舗数は4900店舗。サービス利用継続率は99.5%、MAUは登録店舗の95%。累計の予約件数は665万件・3400万人。

3月1日
NECなどPOSシステム5社とデータ連携。

3月7日
東南アジア諸国での事業展開を目指し、シンガポールに新会社『トレタ・アジア』を設立。

3月24日
『LINE グルメ予約』『LINE@』と予約連携。

6月22日
英語版をリリース。シンガポールにてサービスを開始。導入店舗数が6000店舗を突破。

現在、『トレタ』の月額料金が1万2千円。導入店舗数が6000店舗だと単純計算で7200万円/月の収益。余裕のよっちゃんで単月黒字のはず。

すげーよ『トレタ』。すげーよ中村社長。すげーよ磯崎氏。

IT関連のスタートアップベンチャーの見事なまでの成功事例となった『トレタ』。今後のトレタ社のIPOが楽しみです。



《『トレタ』について深く知る参考リンク》

目指せ、無駄ゼロのレストラン運営 トレタが支持される理由
(日経BP)

「飲食業界だけが取り残されている」トレタ 中村仁はテクノロジーで異業種にどんな革新をもたらすのか?
(ハフィントンポスト)

飲食業界をITで『脱ブラック』できる環境がようやく整った」 予約台帳アプリ「トレタ」中村仁氏インタビュー
(blogos)

飲食業界がブラック化するのはITの恩恵を受けていないから
(ダイヤモンドオンライン)

<文責/K>

※本記事は2016年7月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。


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