『報道ステーション』のメインキャスターとして、テレビ朝日の夜の顔を10年以上にわたり務めてきた古舘伊知郎さん。古館さんは毎日毎日、視聴者から寄せられる自身や番組に対する意見や誹謗中傷の全てを読み、さらには誹謗中傷の意見に「ありがとう」と言えるのだとか。
いったいなぜ、古館さんはそのような境地にまで至ることができるようになったでしょうか?
古館さんが自分や番組への誹謗中傷に「ありがとう」と言えるようになった経緯は、2014年10月18日にEXシアター六本木で行われた古館さんのトークライブ『トーキングブルース』で詳しく語られました。
■ 電話やメールが毎日約100本、95%以上が誹謗中傷
古館さんによると『報道ステーション』に寄せられる意見は、電話やメールで毎日約100本。しかも95%以上が誹謗中傷なのだとか。
「古館バカ、〇〇(注:自主規制)。お前なんか古巣の実況に戻りやがれ。ニュースキャスターに向いていない」とかいろんなことを言ってくる。ここまで言うかコノヤロウという内容もある。口に出せないことも書いてある。
そんな視聴者からの誹謗中傷の意見を、古館さんは10年間毎日欠かさず読んできたそうです。
10年1日も欠かさず読んできた。逃げちゃいけないと思って。
1本の電話の後ろに何千人もの同じ意見の人がいるっていうのは肝に銘じているからね、嫌なことも一生懸命に読む。
そりゃ傷つくよ。メッタ打ちにされるから。(でも)番組も俺もメッタ打ちにされるのが仕事だと思っている。
古館さんは視聴者からの誹謗中傷の意見に傷つきながらも、あることに気づきます。
■ これだけ誹謗中傷の意見を言ってくるってことは......
ちょっと待てよ。これだけ(誹謗中傷の意見を)言ってくるってことは、相当(番組を)真剣に見てくれているよなと。
(誹謗中傷の意見を言う人は)ガス抜きをして言うことを言ってスキッとして布団かぶって寝て、そして朝また早く起きて仕事へ行ってイライラして疲れて帰ってきて。また『報道ステーション』を見て俺をツッこもうとしているんだな。
そして古館さんは次のような境地にたどり着きます。
(誹謗中傷の意見を言ってくる人は)強烈な俺のファンじゃないか。
つまり誹謗中傷の意見を言ってくる人ほど、自分や番組にツッこもうと番組を真剣に見てくれるファンであると、古館さんは考えるようになったのです。
というわけで......。
(誹謗中傷の意見も)「ありがとうありがとう」と無理矢理(自分自身に)言い聞かせることができるようになった。
さすがフリーのアナウンサーとして、長年テレビ界の第一線で活躍してきた古館さんです。
一方、こんな話も......。
たまにくるんだよ。「古館さん頑張ってますね、最高」って。(そんなストレートに応援してくれる意見に対して)「嘘つくんじゃないお前は。お前はファンじゃないよな」と逆にツッこみ始める。嫌な性格になっちゃった。
■ 人気 You Tuber HIKAKIN も似たようなことを言っている
実は人気 You Tuber である HIKAKIN (ヒカキン)さんも某テレビ番組で同様のことを語っていました。HIKAKIN さんも人気者であるがゆえ、誹謗中傷のコメントも多いのだとか。
わざわざ時間を割いて見に来てくれて、見ていただいてからのコメントなので、実はいい人だったりすると思って感謝しています。
古館さんと同じ考え方ですね。
■ ビジネスパーソンに役に立つ古館さんの考え方
このような古館さん(と HIKAKIN さん)の考え方はビジネスパーソンに役に立つものではないでしょうか。
近年、ビジネスパーソンにはいわゆる"煽り耐性"という能力が求められています。
自身に対するネガティブな意見であったり誹謗中傷に対して、どのような心持ちでいるか-その答えのひとつを古館さん(と HIKAKIN さん)は示してくれています。
■ 他者評価こそが評価
ちなみに古館さん、『AERA』誌上で行われた吉田豪氏によるインタビューでは"評価"について次のように語っています。
評価は、自己評価は意味は無いと思っています。他者評価こそが評価なので。ネットを見ると底なし沼だと思うからあんまり見ないけど、必ず情報はきく。
-AERA 2014年7月14日号
この話もビジネスパーソンにとって参考になる話ではないでしょうか。
《古舘伊知郎を知る参考リンク》
・古舘伊知郎氏がネットの反響を気にしている事実を書評家・吉田豪氏が明かす
(livedoor news)・古舘伊知郎
(Wikipedia)
※本記事は2016年3月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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