業績好転が見込めず、経営危機が大きく報道されている大手家電メーカー・シャープ。シャープは創業者・早川徳次が1924年(大正13年)に大阪に設立した「早川金属工業研究所」を原点とし、これまで大きく成長してきました。
今回は、創業者・早川徳次の「経営五カ条」を紹介します。
シャープの創業者である早川徳次。彼は幼少時から苦労を重ねたこともあって、事業の第一目的は「社会への奉仕」であると述べていたそうです。
彼は視覚障害者が独立採算制で事業を経営する工場を設置したり、共働きや身体障害者家庭の子供を預るための保育所を建設するなど、多くの社会貢献活動を行ってきました。
▶早川徳次(Wikipedia)
■ シャープ創業者・早川徳次の言葉を編集した「経営五カ条」
そんな早川徳次の言葉を集めた「経営五カ条」は、昔から至言としてネット上で語り継がれています。出所は不明なのですが、実際に早川徳次が語った言葉を五カ条という形に編集したものだとされています。
そして、この「経営五カ条」からは早川徳次の経営に対する人間性が強く感じられ、同時に経営危機が大きく報道されているシャープの現状を考えると、実に感慨深いものでもあるのです。
というわけで、その「経営五カ条」を紹介したいと思います。
一.近所をよくする。近所を儲けさせる。
自分たちだけでなく、下請け会社や広くは世間などを含めて、自分たちに関わる人すべてに利益を与えるということでしょう。早川徳次の経営哲学の神髄と言えます。
二.信用、資本、奉仕、人、取引先、この五つの蓄積を行え。
「資本」の前に「信用」という言葉、「資本」の後に「奉仕」という言葉が置かれているのがとても印象的です。
「信用」の重要性については、他の多くの名経営者が語っているところでもあります。
▶渋沢栄一と堀江貴文(ホリエモン)の名言から学ぶ「信用」の重要性とは?
三.よい人をつかんだら、決して放すな。
人材面における至言です。ちなみに太平洋戦争終結後に経営危機に追い込まれ、銀行から追加融資の条件として人員の削減が提示された際に、早川徳次は「人員を解雇するくらいなら会社を解散するほうがいい」と考え、全従業員にそう伝えたというエピソードがあります(その後、労働組合が自主的に希望退職者を募って対応。融資が実現し経営再建を果たしました)。
四.儲けようとする人は、儲けさえあればいいんだ。何事にも真心がこもらない。
とかく利益第一主義になりやすい現代型経営において、早川徳次のこの言葉は心に染み入るものがあります。
さらに…。
五.人によくすることは、自分にもよくするのと同じだ。人を愛することは、自分を愛するのと同じだ。 事業の道も処世の道も、これ以外のものはない。
「自分さえよければいい」という発想は捨てろと言い切っています。
同様のことは、三菱財閥創始者の岩崎弥太郎や、フォード・モーター創業者のヘンリー・フォードも言っています。
岩崎弥太郎(三菱財閥創始者)
およそ事業をするには、まず人に与えることが必要である。それは、必ず後に大きな利益をもたらすからである
ヘンリー・フォード (フォード・モーター創業者)
奉仕を主とする事業は栄え、利得を主とする事業は衰える
最後にもう一度早川徳次の「経営五カ条」をまとめて見てみましょう。
一.近所をよくする。近所を儲けさせる。
二.信用、資本、奉仕、人、取引先、この五つの蓄積を行え。
三.よい人をつかんだら、決して放すな。
四.儲けようとする人は、儲けさえあればいいんだ。何事にも真心がこもらない。
五.人によくすることは、自分にもよくするのと同じだ。人を愛することは、自分を愛するのと同じだ。 事業の道も処世の道も、これ以外のものはない。
早川徳次は、今のシャープをどんな気持ちで見ているのでしょうか?
※本記事は2015年11月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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